世界最大級の祭りといえばカーニバル!!ブラジルではリオデジャネイロのカーニバルが有名ですね。カーニバルはどこで誕生して、ブラジルへ伝わり、どう変化と進化を遂げたのか。リオのカーニバルが世界最大のカーニバルになった歴史やサンバパレードの背景とは。
カーニバルの歴史
カーニバル(ポルトガル語では、カルナヴァウ)とは、キリスト教の復活祭(イースター)の前に、「四旬節」といわれる、節制の期間前に行われる“謝肉祭”のことです。ラテン語のカロ・ヴァーレcaro vale(肉よ、さらば)や、カルネム・レヴァーレcarnem levare(肉を除く、肉食を絶つの意)が由来とされています。
歴史をさかのぼっていくと、古代ギリシャ、古代ローマ時代のゲルマン系民族の儀式や春の農耕の祝祭が起源といわれています。その後、キリスト教がローマ帝国で広がっていくと共にカーニバルの原型となった祝祭が、異教徒であるキリスト教徒によって伝承されていく形になったようです。そして西ヨーロッパのキリスト教諸派のカトリックで、復活祭(イースター)の前に、「四旬節」と言われる節制の期間に入るということもあり、カーニバルは、“四旬節が始まる前に行う祭り”として定着したようです。
カーニバルは、質素で厳かに過ごす四旬節前に、存分に楽しんでおく為に皆が平等に休日を楽しむ祭りとなりました。この期間だけは社会的身分や階級など関係なく、ルールや規律も忘れ、日頃の不満や圧力などの鬱憤を開放し、水や小麦粉などをお互い投げ合い盛り上がったり、悪霊や災いを追い払う目的で、仮装パレードをしたりと数日間におよぶイベントへと発展していきました。
そして、カーニバルは世界へ広がっていきました。もちろんブラジルにも!!ブラジルのリオデジャネイロのカーニバルのほかにも、イタリアのフィレンツェ、ベネチア、フランスのニース、ドイツのケルン、スイスのバーゼル、アメリカのニュー・オーリンズのカーニバルなどが世界的に有名なカーニバルとして知られています。
カーニバルの舞台はブラジルへ
18世紀ブラジルがポルトガルの植民地だった時代に、カーニバルはポルトガル人によってブラジルへと伝えられました。ブラジルでは当時、Entrudo(エントゥルード)と呼ばれ、奴隷たちが顔に小麦粉を塗りつけ、水や泥などを投げあうなどして数日間自由にお祭りを楽しむことができました。日常のストレスを開放する機会を与えることで、奴隷が重労働から逃げ出すことを食い止める狙いもあったとか。
しかし、次第に喧嘩や騒ぎがエスカレートしていき、上流階級の人々は嫌悪感を持つようになり、19世紀に入ると、エントゥルードの風習は廃止され、貴族や上流階級の人々が劇場などで楽しむ仮面舞踏会が開催されるようになりました。民衆はそれに対抗するように集団で歌い、踊りながら練り歩きました。これがブラジルのカーニバル文化の原型となったようです。
そして、ブラジルの奴隷制度廃止により、アフリカ系ブラジル人もカーニバルに参加できるようになりました。
アフリカ系の打楽器などのリズムを取り入れたサンバの音楽やダンスはこのころから生まれたといわれています。もちろん、リオのカーニバルで演奏される音楽は、サンバが主体になっていますが、マルシャ(ブラジル版マーチ)や、ポルカ(チェコの民族舞曲)なども演奏されているのはカーニバルの歴史を辿っていくとよく分かりますね。
今もブラジル各地で様々な特色があるカーニバルが行われています。リオのカーニバルが有名ですが、サンパウロのカーニバルも引けを取らないぐらい大規模で行います。どちらもコンテスト様式で行います。その他にも、カラフルな傘を使った弾けるようなダンスのFrevoが魅力的なオリンダのカーニバルや、世界最大のストリートパーティーとしてギネス認定されているサルヴァドールのカーニバル、インディオの文化ボイブンバとカーニバルが融合したカルナボイが有名なマナウスのカーニバルなどが有名です。
「リオのカーニバル」が世界的に有名になったのは、ブラジル文化の中心都市であった為、ブラジル国内のカーニバルの中でも、リオデジャネイロのカーニバルが、とても華やかで大規模に行われるようになったからかもしれません。
溢れる熱気!リオのカーニバル
リオデジャネイロは、18世紀、ブラジル内陸部から運ばれた金やダイヤモンドの積出港として、ブラジルビジネスの中心となっていたため、リオデジャネイロは、ポルトガル領ブラジル植民地の首府となり、ブラジル文化の中心都市となりました。毎年カーニバルの時期になると、リオで行われるパレードを観るために、世界中から多くの観光客が集まり、リオの街は熱気に包まれます。
「エスコーラ」と呼ばれる数々の強豪サンバグループが、コンテストでの優勝を目標に1年間作り上げてきた集大成をパレードで披露します。「リオのカーニバル」とは、リオの中心地であるセントロの一角にある、“サンボドロモ”いう、全長約700メートルで8万人収容できる巨大なパレード会場で開催される、コンテスト形式のサンバパレードの事です。
現在の首都、ブラジリアの建築物などで世界的に有名なブラジル人建築家のオスカー・ニーマイヤー氏の設計により、1984年に完成し、2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックのマラソン競技で、このサンボドロモがスタート・ゴール地点として使用されたことが記憶に新しいのではないでしょうか。
毎年2月に盛大なリオのカーニバルが開催され、カーニバルの様子は世界のニュースでも必ず取り上げられる大きなイベントです。
リオだけではなく、ブラジル国内、世界中で皆が平等に楽しめるお祭り。それがカーニバルです・・・!!